「社内起業」こそ、最高のキャリア戦略だ。
第1章 日本人は起業より「社内起業」が向いている
なぜ日本で起業家が増えないのか
- 日本人が『社内起業』に向く理由は、政治的構造に由来している。
- 日本は、アメリカや中国とは、起業家輩出の背景が異なっている。
国名 | 起業の背景 |
---|---|
アメリカ | 企業が簡単に社員を解雇する。社員は自身を守るために、自律的にキャリアを考え、転職し、起業する。これが定着しており、起業家の絶対数が増えていく。比例して起業家のレベルが上がっていく。スタートアップ企業中心の社会である。 |
中国 | 共産主義であり、政府が企業をバックアップする。政府主導でイノベーションを推進している |
日本 | 資本主義であり、中国のように政府は企業を主導しない。政治構造的にも労働者が手厚く守られており、会社をやめてまでスタートアップしない(する必要がない)→スタートアップは増えない |
- 日本でスタートアップが増えないのはイノベーションへの害悪か。→ No。「失敗しても生活は揺るがないから、企業にいながら進んでリスクを取ることができる」とも言える。
- 日本でイノベーションを実現する母体は『政府(中国)』でも『スタートアップ(アメリカ)』でもなく、『社内起業』が最も適しているという事実。
なぜ日本でイノベーションが減ったのか
- かつてのバブル以前は、各社が競って新規事業への投資を行ってきた。ウォークマン、トヨタ車、白物家電 etc…。
昨今の日本では、大企業が、新規事業に対して「投資をしなくなって」いる。アベノミクスを経て企業原資がかつてのように回復しつつあるが、現在の大企業が行っているイノベーション施策は、主に社外への投資である。
政治構造としては企業内起業が向いているのに、大企業がこれらに投資をしないから、日本はイノベーションが起こりづらい。
本書では日本企業をイノベーションを生み出す会社に、云々・・・(以下、略)
第2章 「社内起業家」へと覚醒するWILLの作り方
WILLの定義
WILL(意志)の強さと明確さを評価する基準は以下の3つ。
- Q1. 誰の(課題を解決するのか) ← 領域の明確化①
- Q2. どんな課題を(解決するのか) ← 領域の明確化②
- Q3. なぜあなたが(解決するのか) ← 圧倒的当事者意識
3つの評価基準に至る成長過程を「原体験化」と(筆者は)呼んでいる。
ゲンバとホンバ、2つの行動で「原体験化」
ゲンバに触れて対話する
ホンバを訪れて刺激を受ける
体験したことをアウトプットする
- 誰かに感動をコメントする。
- コメントついでに「小さな約束」をする。
「小さな約束」をすることで、自身をつぎの行動に後押しし、結果を生み出す好循環が生まれる。
第3章 最初にして最大の課題「創設メンバーの選び方」
『人数』の王道
3人以下が王道であり、4人以上にしない方がよい。
人数の観点は以下の3つである。
- コミュニケーションスピード(少ない方がよい)
人数が増えればコミュニケーションは『指数関数的に』複雑になる。2人なら1だったコミュニケーションパスが、3人なら4倍に、4人なら11倍になる。調整にも時間がかかり、情報が共有しきれない。1人が最強説。 - チームレジリエンス・くじけぬ心(多い方がよい)
ダメだしに折れない。挫折にくじけない。スクラムでチーム力向上。 - マンパワー(多い方がよい)
業務をさばける量。人数が多ければ『比例的に』高まる。
新規事業の立ち上げでは、情報共有が超重要。共有はデイリー(daily)ですらなく、アワリー(hourly)である。そのスピードに対応するには、5人は多すぎ。情報共有と、会議調整するだけ時間がムダ。
『役割』の王道
- 創設メンバーで何の役割を果たし、何の役割を外部に委託するかを決める。数ある役割のうち「外部に委託しえない役割」こそが、新事業における「競争優位性の源」となる。以下に例示。