オンラインツール「EasyEDA」で基盤設計とPCB発注をやってみる

先日開発したポータブル式サーモグラフィを、基盤として再開発してみようと思います。

camelrush.hatenablog.com

前回まで

前回開発した時には、手元にあったユニバーサル基盤に、エナメル線で配線をしてはんだ付けをしていました。

ただ、あまりにも汚いし、何かのはずみで断線しそうです。

なので、以前からやってみたかった基盤設計に挑戦してみました。

事前情報、ソフトウェア「EasyEDA」

基盤設計には、これまでデスクトップアプリのフリーソフト「Kicad」というのが有名だと思っていたのですが、以下のYoutube記事で、Kicadよりも簡単にできる、という照会があったのでこちらを使うことにしました。

www.youtube.com

Webアプリケーションであり、オンラインで作業できるのでデータ保存なども楽に行えます。

設計開始ぃぃん

プロジェクト作成

  • 右上の「Register」から、サインアップを行います。

  • ログイン後、[Products]-[Standard Online Editor]を選択します。

  • 下の画面が表示されるので、「新しいプロジェクト」を選択します。

回路図の作成

最初に、回路図を作成します。

  • 回路図の画面が表示されるので、左側の「Common Library」または「Library」から、任意のパーツを選択して配置していきます。

  • パーツの選択は左下のような画面で行います。ダイアログの右側に回路図や、実物の絵が表示されるので、内容を確認しながら配置していきます。

    • 見つからない場合は「User Contributed」を選択してください。世界中のユーザが作成したパーツから探してくれるので、見つかることがあります。
  • これを繰り返して、下のとおり必要なパーツをひたすら配置していきます。

  • 次に「ツールバー」左上にある「Wire」をクリックして、回路上で配線をしていきます。

    • 図内のラベルはダブルクリックすることで書き換えることができます。

    • パーツを選んで「R」を押すと、回転(Rotation)します。

    • 使用しない端子には、ツールバーの「No Connect Flag」(×)を設定しましょう。しないと、後でエラーになります。

    • 端子同士をうまくつなげない場合は、描画間隔を調整します。右クリックメニューから「スナップサイズ」を変更し、最低の1とすることで、細かいサイズ調整ができます。

    • 基準電圧(GND)は、ツールバーの「Net Flag(GND)」で設定します。

    • 以下のとおり、回路図を作成しました。

  • 最後にメニューバーから「Design」-「Convert to Schematic to PCB」を選択します。この時、回路図のチェックも行ってくれます。エラーがある場合は左側にエラー箇所が表示されますので、訂正していきます。

シルクスクリーン作成

次に実際の部品の配置と、配線を行っていきます。

  • さきほどの「Convert to Schematic to PCB」の選択によって、PCBの作成画面が表示されます。

  • まずは紫のエリア内にパーツが収まるように部品を配置します。

    • 物理的なサイズを意識しながら配置を考えます。一般的なブレッドボードを意識する場合、端子間は 2.54mm です。回路図の時と同じように、右クリックメニューから「グリッドサイズ」を変更し、「100.0mil 2.540mm」を選択しましょう。また、端子はそのうえで移動させるので、「スナップサイズ」は半分の「100.0mil 1.270mm」とします。

    • パーツを選んで「R」を押すと、回転(Rotation)します。

    • 大まかにですが、次のように配置しました。

  • あらかじめひかれている、細い紫線は、回路図上の配線を示しています。これを実際の結線に変えていきます。メニューバーの「Track」を選択して、線を引いていき、すべてのパーツをつないでいきます。

    • 「Layers and Objects」ウィンドウの「トップレイヤ」「ボトムレイヤ」を使い分けます(トップは表面、ボトムは裏面)
      今回のように複雑な配線の場合であっても、異なる配線を交差することはできません。対策として、基盤に穴(ビア)をあけ、裏面をバイパスして、目的の端子に接続します。 下図でいうと、左が表面(赤い線)、右が裏面です。
    • 表/裏配線の操作方法は、マウスで配線を引いている最中に、キーボードで「B(Bottom=裏面)」または「T(Top=表面)」を押します。これにより、直前にクリックしたポイントに「ビア(穴)」が作られます。

    • ボード上にコメントを記載したい場合(今回は「Designed By ... 」で名前を入れました)は、「Layers and Objects」ウィンドウで「トップ(ボトム)シルクレイヤー」を選択し、メニューバーの「テキスト」を貼り付けます。

    • 配線を曲げる場合は直角に曲げず、2段階で斜めに折り返すことが推奨されています(直角にすると、プリントの過程で断線を起こすリスクが高いそうです)

  • 以上を踏まえながら、配線・基盤のコメントを行いました。

  • 出来上がったらメニューバーにある「2D」「3D」を選択してみましょう。プリント基板のイメージが表示されます。

  • 最後に、メニューバーの「Fabrication」-「One-click Order PCB/SMT」を選択します。ここで配線に問題がある場合はエラーが表示されますので、エラー内容に沿って訂正を行っていきます。

ガーバーファイルの作成と発注

  • 前述のシルクスクリーンにエラーがなければ、いよいよ発注に入ります。下の画面が表示されますので、右下の「One-click Order PCB/SMT」をクリックしてください。注文画面に遷移します。

    • 私の時は、なぜかエラーがでて遷移できませんでした。

    • この場合は、先の画面で「Generate Gerber」をクリックしましょう。zipファイルがダウンロードされます。この zipファイルを遷移先の JLCPCBサイトにアップロードして、注文に進みます。

  • JLCPCBサイトに遷移したら、注文内容を選択します。初めての場合は、あまり触らずに注文してよいでしょう。私もよくわかっていませんw

    • 右側に価格が表示されていますので、うっかり高価なオプションを選ばないよう注意しましょう。
    • PCB Qtyは発注枚数です。最低 5枚から選択できます。
    • PCB Colorは基盤の色です。好きな色を選択してください。
  • 作成内容が決まったら、発送方法を選択します。
    最短 1~3営業日(左)、最長 6~8営業日(右)の中から選択します。
    金額に大きく影響しますので、よほど急いでない場合は右(一番下)を選択しましょう。

  • 最後に、支払い方法を選択して(私はクレジットカードを選択しました。JCB不可)、支払い完了となります。


ちなみに今回の発注結果は、下のとおり、計 2.96$(433.8円)となりました。
勉強代にしても安いですよね!

うまくできたかは届いてのお楽しみです!

また後日!